高根の神楽150周年 あす4年ぶりに神楽殿で披露
高根町神明社(高根町600)の神楽が今年150周年を迎える。あす15日、4年ぶりに神楽殿で披露される。
画像=過去の例大祭の様子(船橋市提供)
船橋市内では、5つの神社で神楽が伝承されており、同社では五穀豊穣などを願い、1873年から年3回の例祭で奉納されてきた。
同社の神楽は14座あり、うち「日本武尊舞(やまとたけるのみことまい)」「大蛇之舞(おろちのまい)」は市内ではここだけで演じられている。あすは、秋の例大祭でのみ演じられる「天の岩戸舞(あまのいわどまい)」を含む、14座全てが披露される。
同社の神楽を守っている高根町神明社神楽連のメンバーは30代~70代の15人。動きや曲の調子を示す譜面がないため、先輩の姿を見て習得する形で伝承されてきた。加盟の時に体格などに合わせて役が割り当てられ、それを引退まで担うという。
今年から神楽連の代表に就任した藤城孝義さん(68)は、20代後半に神楽を始め、「おかめ」の舞などを担当している。先輩や周囲の人から指摘してもらいながら、しなやかなしぐさや体の柔らかさを表現できるよう研究を続けてきた。「地元の人が見てくれているから、みんなで守ってきた。指摘してもらえることもいい刺激になり、自分の舞が先輩と少し違うことも、良さだと考えている」
後継者見つけ、舞いの伝承を
戦時中も14座のうち本殿を清める3座は行われたとされるが、コロナ禍では20年から22年まで中止になった。昨秋、久々に練習した際に「長年やってきて覚えているだろうと思っていたが、笛も音が出ず、体も覚えていなかった」と藤城さん。過去の映像を見返すなど試行錯誤し、各自で感覚を取り戻したが、「一度切れてしまったらできなくなってしまう。どう伝承するか。改めて考えさせられた」と話す。
40年でメンバーは半分になったと藤城さん。高根神楽の基となった柏市の塚崎神明社では、後継者不足から、一部の演目ができなくなっているという。このままでは高根でも14座を継承できなくなる。「先輩たちがつなげてきたものを自分たちの代でなくしてしまうのは失礼だと思う。自分たちが守るしかない」と、新住民への声掛けや、小学校での体験学習など後継の発掘、育成を急いでいる。
「神楽を通じて地元の人と人とのつながりを大切にしたい」と藤城さん。本番に向けてしっかり舞を仕上げていきたいと話している。
あす18時~23時ごろまで。きょう18時からは清めの3座が本殿で披露される。