「人」オペラアカデミーを運営するコレペティートル 天雨航平さん

コレペティートルは舞台に立つオペラ歌手を陰で支えるコーチのような仕事。歌唱指導や楽譜の解釈、本番前の演者のメンタルケアから照明の調整まで、演出家や指揮者とは違う立場から舞台をコーディネートする。「歌手の呼吸や言葉、色など、その人の持つ能力を最大限に発揮できるように」努めている。

以前から人のために仕組みを作ったりするのが得意と感じていた。昭和音大で学んだピアノで何かできないか。そんな時にオペラの伴奏をする機会があり、「これだと思った」。昨年秋からイタリアのミラノ・スカラ座アカデミーで学んでいる。

コレペティートルはオペラ公演には不可欠な存在だが、国内の人材は僅か。国内のオペラ環境を発展させるような学びの場を作りたいと「天雨航平アカデミー」を立ち上げた。オペラ歌手を目指す若手からすでに舞台で活躍しているプロまで20人が学ぶオンラインアカデミーで、その生徒たちが16日、きららホールの「ちょっとよりみちライブ」で初公演を行う(詳細は8面)。演目は宮沢賢治の代表作の「注文の多い料理店」。自身が作ったオリジナル演目で「オペラが成功するか否かは、コレペティ次第」と稽古に熱が入る。「その場でしかできない体験をしてもらいたい。とにかく一回来てみてほしい」と来場を呼び掛ける。

将来的な目標は、47都道府県にオペラ劇場を作ること。「もともとオペラは貴族の物なので敷居が高くて当たり前。オペラの敷居を下げるのではなく、皆の意識を上げられれば」と話す。