ベーターキャロット復活へ 連作障害で取り扱う農家激減

千葉県のニンジン生産量は全国2位。その一翼を担う「船橋にんじん」は13年に特許庁から全国初の地域団体商標の認可を受けている。ニンジン臭さがなく甘い品種の「ベーターリッチ」は人気の商品だったが、近年生産者は「連作障害」に悩まされている。

画像=勉強会後のベータキャロット組合員ら

ベーターキャロット組合長の石神辰巳さん(55)によると「10年ほど前からしみ症で出荷できないニンジンが出てきた」と話す。黒や薄紫色の斑点ができ、生育途中で割れてしまう病気という。各農家で肥料作りなど畑の回復を試みたが解決できず、ベーターキャロットを扱う農家は20軒から3軒に減った。

「このままではベーターキャロットの危機」と原因の究明と対策を検討。ようやく畑の菌のバランスが崩れているということが分かった。原因を取り除くため除菌を試みたが、「いっとき菌がいなくなってもまた戻ってくる」と石神さん。「それなら共存していこうと。菌を含む微生物を増やすような肥料などを使い始めた」。作付けしたもののほとんどを廃棄していた年もあるが、現在は5割は出荷できる状態まで持ち直したという。

咲が丘に畑を持つ石井直樹さん(35)は、「初めてベーターキャロットを食べたとき、果物のような味で感動した。苦労はあるがおいしいニンジンを食べてもらいたいという気持ちのほうが大きい」と話す。

仲村学さん(45)は「ニンジン嫌いな子どもが食べられるようになったと聞くとうれしい。待っていてくれる人がいる限り作り続けたい」と思いを述べた。

「ファンがいる限り諦めない」と3農家で試行錯誤を続けている。