「現代の名工」に理容師の武蔵さん
優れた技能を持つ職人を厚生労働省が表彰する「現代の名工」に本紙エリアから、理容師の武蔵均さん(61)が選ばれた。
武蔵さんは祖父の代から続く「ヘアーサロンムサシ」(藤原1)の3代目。店を継いで約40年になる。一報を受け「同業の中で表彰された人は70人ほどしかいない。まだまだ自分は発展途上。身に余る栄誉をいただいた」と喜びを話す。
部分的に毛束を引き出し、はさみを滑らせるように切る「スライドカット技法」の第一人者。時代の流行をおさえつつ顧客の望むヘアスタイルを提供する傍ら、後進の育成にも尽力していることが認められた。
修行を始めてまもない22歳の時、父親が倒れ、急きょ実家の店を継ぐことに。未熟な技術に離れていく客もいた。「とにかく上手くならなければ」と閉店後から夜中まで腕を磨く日々が続いた。
客に寄り添い、要望を具現化
心掛けるのは顧客に寄り添い、望みを具現化すること。スライドカット技法で髪の重さを利用したさまざまなスタイルに対応できるという。「男性も女性もカッコよく、素敵になるように。その人の欲求をどこまでくみ取って表現してあげられるかが大切」と話す。
2人の息子は現在理容師として修行中で、いずれは親子で現場に立つのが夢だ。「名工の名に恥じないよう、いつでも技術を見せられるようにしておきたい」。