若者のギャンブル依存増加 「家族の会千葉」 発足5年
ギャンブルにのめり込み、行動を制御できなくなる精神疾患の一つ「ギャンブル依存症」。多重債務など金銭的な問題に加え、家庭内の不和、うつ病、自殺、犯罪にも結びつく恐れもある。
国は昨年公表したギャンブル依存症の実態調査で、依存が疑われる人の割合を2・2%(18~74歳)と推定している。県はギャンブル依存症の対策推進計画を策定。今年度から27年までの6年間で相談や社会復帰支援の拡充、学校での予防教育を実施する。また船橋北病院(金堀町)などの専門医療機関で、本人や家族を対象とした回復プログラムを実施するなど、医療体制を充実させる。
船橋市中央公民館などで活動する「全国ギャンブル依存症家族の会千葉」の代表、伊藤和世さん(=写真・56)は、「病院と連携できるようになったのは大きいが、ギャンブル依存症を取り巻く環境はさらに厳しくなっている」と話す。
17年の発足から毎月1回、依存症家族らの相談を受けてきたが、近年相談者が急増。以前は1~2件だった相談件数が、コロナ以降6~7件に増えた。うち20代が4割で、「若者が当事者ということが増えた」と話す。ギャンブル依存症予防回復支援センター(東京都)のレポートによると、昨年度の相談件数は5276件で、相談対象者の割合は10代、20代で3割を超える。
コロナでネット化 環境悪化
伊藤さんは「昔はパチンコ、パチスロばかりだったが、今はオンラインカジノやネット投票で競馬もできる」と若者を取り巻くギャンブル環境の変化を指摘する。学校休校で自分の部屋でオンライン授業を受けていると思っていたらオンラインカジノにのめり込んでいたというケースも。
伊藤さんもかつて、当時大学生だった長男のギャンブル依存症と向き合った。借金があること気づきすぐに返済したものの、そうしたことで利用限度額が増え、さらに高額な借金を背負うことになった。「親の責任なんじゃないかと自分を責めていた時期もあった。依存症は誰でもなる病気。私の経験が役に立てば」と活動を続けている。
相談者の増加に伴い、同会ではLINEで24時間、相談を受け付けている。「行政や病院の9時~17時ではとても対応しきれない。困った時に誰かに声を発することができる場が大事」と力を込める。
「ギャンブル依存症は医療だけでは解決できない。借金の問題もあるし、事件性のあるような内容ならば、警察を呼んだ方がいいとアドバイスする。一人ひとりに寄り添っていきたい。当事者を回復につなげることが私たちの一番の目的。それが家族の願い」
次回家族の会は7月2日(土)に開催。12時半~14時半/船橋市中央公民館/℡090・1404・3327 田所さん