海岸保全施設 国直轄で整備 国交省や県が市民向け説明会

船橋市内の海老川水門や船橋排水機場などの海岸保全施設整備が、国の直轄事業になったことを受け、市と県、国土交通省担当者らが市民に同事業について説明する会が先月26日、市民文化ホールであった。

画像=報告会で事業概要について説明する国交省の職員ら

総事業費300億円
直轄事業の対象は海老川水門、船橋排水機場、日の出護岸など、護岸915㍍、胸壁1255㍍、陸こう7基、排水機場1か所、水門1基。各施設とも建設から約50年が経過し老朽化。耐震性も不足している。概算の総事業費300億円で期間は33年までの12年間となる。

沿岸の海抜の低い地域には市役所や消防署、商業施設が密集。国道14号やJR線など、千葉と東京を結ぶ重要交通網もある。高潮や高波発生時に、水門などが機能しなければ、JR船橋駅周辺まで浸水すると想定されており、長年の懸案となっていた。だが、水門や排水機場の機能を維持しながらの整備には、専門技術や膨大な費用がかかることなどから、市などが国に対し直轄事業化を要望してきた。19年2月には地元住民を中心とした船橋地区海岸保全施設耐震化促進協議会が立ち上がり、市民に事業の重要性を周知するためのシンポジウムや署名活動を行うなど働きかけてきた。

説明会で松戸徹市長は「地元の協議会をはじめとする市民の皆さんの要望活動、また県、国のさまざまな形での分析によって実現することができた。船橋市の安全を守っていくための、歴史的事業となる」と話した。

国が海岸保全整備を直轄事業とするのは東京湾の最奥の海岸では初めて。全国から同様の要望がある中、同事業が採択された理由として、国交省千葉港湾事務所の安原晃所長は、「既存施設の背後に民地があり従来の方法での施工が難しい。また、水門、排水機場を稼働しながらの施行には高い技術が求められる」と話した。

22年度の事業費は5・1億円。今後のスケジュールについて「整備効果の高い、日の出護岸、日の出胸壁から段階的に始める。住宅が近い、湊護岸、湊町胸壁は事業期間の中ほどで。海老川水門、船橋排水機場は護岸・胸壁整備と並行して進める」と説明した。