参加したくなるPTAに 習七中の取り組み

もうすぐ新年度。この時期、小中学生の子を持つ保護者の不安の一つにPTAの存在があるという。本来、PTAは学校の教員と保護者が連携して活動する任意加入の団体。活動の強制や理不尽な慣例などに不満を抱く保護者も多い。共働き世帯が増加するなか、そうした負担を軽減しようと改革を始める学校も増えている。習志野七中(香澄6)は「参加したくなるPTA」を目指し、19年秋から改革に取り組んでいる。

千葉工大教育センター准教授の福嶋尚子さん(=写真)は19年から同中PTAに携わっている。「もっと軽薄な問題かと思っていたが、実は人権問題なんだと気付いた」。委員のなり手がおらず、それぞれの人の意思や事情を考慮せずに役割を強制する運営が黙認されている、と指摘する。

まず取り組んだのが、それまで作成されていなかった入会届を配布すること。入退会が任意であることを明確にした上で、保護者の意思で入会してもらうようにした。

手上げ方式や部活の導入
改革の2つめは、「委員の強制割当の廃止」。年度初めには会員の中から委員を決めるが、その際、多くの学校が採用しているのが「ポイント制」というもの。子どもが在籍する一定の期間に、なんらかの委員を担うと得点が付与され、その後の役割が免除される仕組み。だが、ジャンケンやくじにより不本意な役目についたり、さまざまな事情で得点を得られず、のちに強制的に仕事を押し付けられたりして「泣く人」がいる。同PTAでは強制割当と学級単位の役員定員を廃止し、会員の意思を尊重する「手上げ方式」へ変更した。

主体的な参加を促すために取り入れたのが「PTA部活」だ。バレーボール部にフェスティバル部、ボランティア部を作った。「子どもが好きな部活をやるように保護者も好きな部に入る。自分の生きがいや楽しむ場所としてPTAを存在させたかった」

余剰金の有効活用やペーパーレスの推進、不登校の生徒を持つ親の交流会などに取り組み、保護者の意見も積極的に採用した。コロナ禍で、夏休みが短縮となった際には、熱中症対策として、Tシャツでの登下校を学校側に要望し、許可された。

PTAへの入会は9割。方針変更の周知とアンケートを複数回行ったことで「理解は得られたと思う」。一方で非会員の意見も尊重する。「少数派だからこそ、PTAが抱えている問題をわかっている」と耳を傾ける。

実際、改革には時間も労力もかかった。「人権侵害や地方財政法などに触れる違法なことについては、行政と市町村単位のPTA連合などの機関が介入すべき」と福嶋さんは話す。