剣士が民家回り祈願 300年続く鷺沼地区の奇祭

習志野市鷺沼地区で疫病退散、無病息災を祈願する八剱神社祭礼「剣」(通称、剣まつり)が5日、行われた。

画像=従来は大所帯で巡り、8人の若者剣士が走り回る姿が見られるが、コロナ禍で規模を縮小している

300年以上続く祭りで、毎年3月の第1土曜に開催されている。白装束の「剣士」らが太鼓を打ち鳴らしながら、根神社から八剱神社まで練り歩く。約200軒の民家を回り、「悪事災難のがれるように」と唱え、時には家の中を土足で通り抜けて厄除けする。村境の4カ所では札を剣で突く「辻切り」をして地域の1年の安泰を願う。すべての家を回り終わるのに夜中までかかる過酷さなどから、奇祭と呼ばれている。

沿道で様子を見ていた70代の女性たちは「いつもは、ずらーと行列していたのに、剣士が少なくてさみしい。早く以前の姿に戻ってほしい」と感想を。剣まつりの話を聞いて興味を持ったという、都内在住の50代男性は「祖父が住んでいた鷺沼の祭りがどういうものか知りたかった」と話していた。

かつて一度だけ、祭りが行われなかったことがあり、その年は疫病が流行したとされる。氏子総代の村山信一さん(74)は祭りを終え「コロナ禍で、1年何事もなく過ごせるようにという住民の強い思いを肌で感じた。今だからこそこの祭りをやる必要がある。お役をできる限り続けて、次へ伝承していきたい。収束したら、また若い剣士たちに戻ってきてほしい」と話した。