鎌ケ谷の江口さん 竹細工で「蟲」アート

夏休みも折り返し。小学生にとっては自由研究のアイデアに頭を抱える時期かもしれない。鎌ケ谷市初富本町在住の江口信男さん(67)は竹を材料にコオロギやクワガタ、クモ、サソリなどの蟲の姿を表現する竹細工作家だ。

自宅兼工房「珍竹林」を訪れると、多数の蟲作品がところ狭しと並ぶ。触覚や足の関節などを竹だけを使ってリアルに再現している。題材によって真竹や孟宗竹、タケノコの皮など使い分ける。種類による節の違いなどを生かし、小さなパーツを切ってはつなげてを繰り返す。

竹特有の「たたずまいを大切にしている」と江口さん。「染色しない。目をつくらない」のがこだわり。そうすることでリアリティが生まれるという。羽を開いた時の角度や、体の仕組みも、小学生向けの図鑑やネット動画で確認しながら制作している。

51歳の時に知人から教わり、初めて竹のバッタを作った。「おもしろかった。どハマりした」と創作意欲にかられ、それから16年作り続けている。

小さい頃から虫好きで虫取りが日課だった。「竹の籠などは見かけるが…。竹細工の可能性に挑みたい」。珍竹林おじさんしてイベントへの出展やワークショップを開くなど活躍している。

この竹細工技術を後世に残したいと考えているが、自分で作るには難しいと思うのか、続けて習う人がいないのが悩みという。現在は、ユーチューブで海外に向けて作り方を発信するなど模索している。

次に制作するのは、カンブリア紀のアノマロカリスという生物。これからもさまざまな作品を作っていきたいと意欲を語る。