虐待防止 体制強化へ

船場市独自の児相案 意見募集
児童虐待の相談件数が増加し、各自治体の対策が求められる中、独自の児童相談所(児相)の設置を目指す船橋市は先月30日に「市児童相談所基本構想案」を公表し、市民からの意見募集を行っている。習志野市は「児童虐待防止のための通告及び安全確認等への対応指針」を施行し、早期発見への取り組みを強化した。県は鎌ケ谷市・松戸市の地区に児相を新設する方針を示しており、数年後の開設を目指している。

現在、県内には地域ごとに6つの児相(千葉市児相を除く)が設置されている。船橋市は県が所管する市川児相の区域にある。同児相に寄せられる虐待相談件数の約4割が船橋市の案件という。

船橋市には家庭児童相談室があり、市の権限の範囲内で虐待防止に当たっている。だが、専門性や即時性が求められる案件は県へ送致する必要があることから、窓口や支援体制が二元化しており、市家庭福祉課は「行ったり来たりしてしまう」と説明する。喫緊の場合でも、子どもを家庭から一時的に保護する権限は県にあり、市には与えられていない。両機関の方針が異なる場合もあり、結果的に迅速な対応が取れない恐れがあるとしている。

市独自の児相を設置することで対応を一元化するのが狙い。寄せられた情報を集約するなどして、「切れ目なく支援する拠点」としたい考えだ。
同案は有識者による検討会や市川児相への派遣研修などによる調査に基づいてまとめた。整備地は、JR南船橋駅前の市有地4・5㌶のうち、約3千平方㍍を確保した。

市は意見募集を経て、7月までに基本構想として策定する方針だ。開設は25年度以降になる見込み。

同案は市ホームページからダウンロードできる。募集期間は5月31日まで。市内に在住、通勤、通学している人が対象で、郵送や持参、メールなどで提出する。

 

習志野市、新指針を施行
習志野市は市独自の「児童虐待防止のための通告及び安全確認等への対応指針」を1日に施行した。同指針は、市の全職員が虐待の早期発見に取り組むと定め、今年度中に研修を実施する。ケースにより、市の担当部局や県中央児相、習志野警察と連携し、支援を行う構えだ。

安全の確認が困難な子どもに対する見守りについても、新たな方針を定めた。乳幼児健康診査の未受診者、保育施設や学校の長期欠席者などの状況を確認するため、健康支援課、こども保育課、教育委員会指導課を「見守り・安全確認統括部署」と位置づけた。各課の取り組みを体系化し、連携と協力を図るのが狙いだ。

担当者は「市には立ち入りの権限がないため、見守りを重視した。安全確認をきちんと行い、児童虐待の防止につなげたい」と話す。