船橋二和高出身 占部房子さん ベルリン映画祭で銀熊賞
世界三大映画祭の一つ、ベルリン国際映画祭コンペティション部門の各賞が5日発表され、濱口竜介監督(42)の「偶然と想像」(日本公開未定)が準グランプリに当たる銀熊賞に輝いた。
画像=1978年1月9日生まれ。船橋二和高在学中、「全国高校演劇大会」にて最優秀賞を受賞。卒業後、98年に舞台「夏の砂の上」でデビュー。主演映画「バッシング」(2005年)などに出演。
映画は3つの短編集で、そのうちの1編「もう一度」には船橋二和高出身の俳優、占部房子さん(43)が出演している。20年ぶりに再会した女性2人の物語で、占部さんはトランスジェンダーを演じた。撮影は昨年7月に行われ、「コロナ禍でみんなの価値観が違う中、出演者やスタッフを気遣う監督の優しさが作品に反映されていると思う」。濱口監督とは長年親交があり、「はまちゃんの世界がいろんな国の方から評価されたことがすごい。おめでとうとお祝いしたら、『いや占部さん、あなたもですよ』とお互いに押し問答になった」と笑う。
「すてきな年の取り方を」
子どもの頃から「演劇っ子」だった。劇場の独特の空気感に憧れ「あの空間にいる人になりたい」と中学時代に演劇部に所属。「津田沼の大きな書店で演劇の本を買い、舞台のチケットを買うためにパルコに朝6時から並んだ」
演劇が盛んな船橋二和高に進学し、始発で登校して終電まで活動。「運動部かと思うくらい」走り込んで体力を鍛えた。小道具も担当し、劇中で使用するやりなどを想像して制作。何度も駄目出しされながら、教わるというよりも自分で考えることを学んだ。当時の顧問だった土田峰人さんとの出会いは大きく、「とにかく演劇に対して情熱的だった。これだけ演劇を好きな人がいる。好きじゃなきゃできないことだと感じた」と振り返る。
卒業後、舞台などで演技を磨き、05年カンヌ映画祭に出品された映画「バッシング」で主演を務め注目を集めた。以降、映画やテレビドラマなど数多くの作品に出演している。
「演じるというのは、人の気持ちになって発言し、考えること。演劇は教育に有効だと思う」と、近年は埼玉県で子どもたちに向けてリーディングの公演活動も行っている。
コロナ禍で、昨年からコンサートや舞台は相次いで中止。そんな情勢の中でも「表現の仕方が変わる」とわくわくした。「作品があれば離れた人と台本を読んだり、共有できることもある。やり方はいくらでもある。演劇業界は今こそ楽しませるチャンス。人ひとりの心を救いたい」
いずれは「おばあちゃん」役にも挑戦したい。「かっこいいなと思ってもらえるようなすてきな年の取り方をしたい」