「地域で愛される劇に」新ミュージカル 船橋の音楽家ら制作

次世代の文化や芸術の担い手を育成しようと、地元で活動するアーティストらが制作した新作ミュージカルの初演がこのほど、古和釜幼稚園で行われた。

画像=躍動感あふれる劇を演じる出演者ら

「フルーツポンチ!」と題した演目で、出演者は音楽家やダンサーなど10人。果樹園を舞台に、さまざまな果実に扮し、子どもの世界を表現。自分の好きな「幸せの種」を見つけ、大きな木に育てば「色も形もみんな違う実になる」と呼び掛けた。

生演奏で音楽の魅力を劇に込めた。園児らはリズムに合わせて手拍子をしたり、物語の展開に驚きの声を上げるなど、ミュージカルの迫力を体感していた。

劇は「みんな違って、みんないい」と、多様性を認め合う心を子どもに育んでもらおうというのが主題だ。主役のキャラクター「ナッチ」を演じた市船橋高出身のシンガー、リカコさん(26)は「私自身もミュージカルは初めてで、挑戦すれば何でもできる、と。子どもたちには、好きになれるものや大切に思えるものを探してほしい」と話した。

同公演は船橋のNPO法人パフォーマンスバンクが企画。「コロナ禍で文化イベントが中止になり、5年後、10年後を考えると損失は大きい」との危機感から、「地域で愛されるミュージカルを」と昨年10月から制作を始めたという。

市内在住の岡元邦治さん(45)が脚本や監督を務め、船橋を拠点に活動するミュージシャンの小松優一さん(35)が音楽監督として約20曲を手掛けた。岡元さんは初演を終え「伸びしろしかないな、と。さっそく改善点が見つかった」と苦笑。「想定していない反応もあった」と園児らの熱気に表情を緩めた。