「プール方式」検査の導入 船橋市が厚労相に緊急要望
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、船橋市は、複数の人をまとめて検査できる「プール方式」のPCR検査の導入を求める緊急要望書を田村憲久厚生労働大臣に提出した。
プール方式は数人から採取した検体を1つに混ぜて検査する手法。全員が陰性と判断された場合は作業が軽減され、検査人数を大幅に増やすことができる。厚労省は導入に慎重な姿勢を示しているが、市によると米国やドイツ、中国、インドなどの導入事例があるという。
市内の高齢者・障がい者施設の従事者は約6300人。重症化リスクが高い高齢者施設の安全性を高めるため、2週に一度の定期検査をした場合、従来の手法では1日に320人の検査を民間会社に委託する必要が生じる。1カ月で約1億3千万円の費用が掛かるため、単独の自治体での実施は現実的に難しいと市は訴える。
プール方式を採用した場合は、市保健所の検査能力の枠内で実施することが可能となり、民間への委託による費用負担が解消される。検査の信頼性を問題視する指摘もあるが、全体では安全性が改善され、「クラスターの発生を大幅に抑制できる」と市保健所。
要望書は8日付で提出。松戸徹市長は全国一斉導入が難しい場合、「船橋市をモデル地区とし、知見が出た段階で効果があれば全国に広げてもらいたい」と要望した。田村大臣は「モデルにする場合は実施するエリアを考える必要があるが、検討したい」と返答したという。