「異彩探訪」足取り軽く おしゃれステッキ
クリスタルの持ち手に、花々やビーズなどの細かいディテール―。住宅街の駐車スペースの一角、小さなガーデンハウスの中にさまざまな杖が並んでいる。
店主の小倉惠美子さんは、自らが装飾したステッキを15年ほど前から販売している。きっかけは、「80歳近い母親が従来の杖を拒んだこと」だった。
「茶色の杖を『年寄り臭くて持つのがいやだ』って言うので、海外のカラフルな杖を模して作ってみました」。完成したステッキに喜んだ母親は上機嫌で外出するようになったという。「足が悪くなると外に出るのが億劫になりがち。外出が楽しくなるおしゃれな杖を作ったら喜ばれるかも」と10歳年上の姉・和子さんとともにデザインやパーツ集めを始め、インターネット販売を始めた。
間もなく、杖が必要なのは「高齢者ばかりではない」と気付いた。「ウチのお客さんは股関節に痛みを抱えた若い方も多く、高校生もいる」と小倉さん。先月は結婚式で新婦が持つ杖の制作を依頼され、ドレスに合う白を基調としたウエディング用のステッキを仕上げた。
「杖ってネガティブな印象があるかもしれないけど、アクセサリー感覚で持ち歩いてもらえれば。今、外出を自粛しなければならない状況ですが、杖を持ってフラフラできる時が早く戻ってきてほしいですね」と話した。
市場4‐3‐2。10時~17時。℡(423)6605