玉川旅館、映像で後世に 船橋市が動画作成
船橋市教育委員会は、4月に閉館した船橋市湊町2の割烹旅館「玉川旅館」の外観と内部を記録した動画と画像を、来月1日に市公式ホームページで公開する。
画像=館内の様子。動画ダイジェスト版より
動画は本編・資料編の「玉川旅館物語」の約25分。国の登録有形文化財だった同旅館の魅力を後世に伝えようと、鮮明な映像を撮影できる4Kカメラや、ドローンを使って記録した。
作家の太宰治が3週間ほど宿泊して執筆したという「桔梗の間」をはじめ、宴会で使われた大広間、ヒノキの露天風呂といった同旅館の特徴をまとめた。360度の仮想現実(VR)画像は館内約90カ所で撮影。実際に訪れたような疑似体験ができる作りとした。
同旅館は1921年に創業。昭和初期に建てられた本館、別館などが現存していたが、老朽化や多額の費用が掛かる屋根瓦の更新に加え、コロナ禍で宴会や宿泊の利用客が激減。市民から惜しまれつつ、1世紀にわたる営業を終了した。
市教委文化課は、船橋の歴史を伝える建造物を記録に残すため、解体前に今回の保存事業を実施。担当者は「玉川旅館に思い出がある方は多い。動画で建物の中をじっくりと見てもらいたい」と話す。
動画のダイジェスト版は公開済みで、ホームページで閲覧できる。