学校合奏コンクール県大会 坪井小、市船橋に最高賞
日本学校合奏コンクール県大会が10、11日に県文化会館で行われ、船橋市の坪井小、市船橋高が最高賞にあたる会長賞に輝いた。両校を含めた本紙エリア内の11校は31日から開催される全国大会に進出。今年度は音源審査で、演奏はしない。
県内は音楽が盛んだが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で児童生徒が目標とする大会の多くが中止に。同コンクールには小中高の53校が参加し、「最初で最後の舞台」という出場校も少なくなかった。
坪井小は音楽部の4~6年生44人でエントリー。本番では、郷間幹男作曲「セルリアン・ウィンド」を演奏。調和のとれた美しいハーモニーなどが評価された。叙情的なピアノから始まり、勇ましい旋律が響くパートなど多くの場面展開がある楽曲。メンバーらは模造紙に風をテーマにした風景や虹の絵を描き、曲想をイメージしてきた。
月舘遥太部長(6年)は「金賞を取るぞと頑張ってきて、その上に会長賞があるとは知らなかった。飛び上がりそうなぐらいうれしかった」と喜びをかみ締めた。
休校解除後、学校は吹奏楽器の飛沫や人との距離といった感染症対策に悩まされてきた。同小も当初は合奏ができず分散練習を余儀なくされたが、逆境をバネに曲を仕上げていった。小川紳顧問(63)は「子どもたちは頭が良く、主体的に練習してきた」と児童の成長に目を細めた。
市船橋高の吹奏楽部は99人の大編成で、バーンズの「交響曲第3番」を奏でた。作曲者自身が体験した娘を亡くしたときの行き場のない感情、後に息子が誕生する喜びなどを表した曲だ。高橋健一顧問(59)は、不条理なコロナ禍に巻き込まれた生徒を思い、この曲を選んだ。
「休校中、家で一人で吹いていたら楽器が嫌になってしまった。なぜ自分たちの代だけ……」と勝部友理部長(3年)は振り返る。同コンクールでは「賞のことは考えず、素晴らしいホールでみんなと一緒に演奏できることが幸せだった。諦めかけたが、もう一度頑張ってよかった」。高橋顧問は「市船の歴史に残る名演だった」と生徒をたたえた。