「人」性に関する情報を発信する 新真大さん
インターネット上に溢れる性に関する情報の中から、信頼できるものを抽出しまとめた無料アプリ「Sex& Life」を開発した。
「若者の予期せぬ妊娠、困窮する家庭、児童虐待を減らしたい。正しい情報だけが集まる場を」との思いから、研修医入りを1年遅らせて、アプリ開発に取り組んだ。
避妊、パートナーシップ、健康…。「何かあったとき、若者がまず頼るのはネットか友達」。誤った情報が混じる検索サイトやSNSとは一線を画すアプリを目指した。知人の産婦人科医の監修を受け記事を抽出。「安全日っていつ」「中絶すると将来子どもが産めなくなる?」「彼氏から『裸の写真を送って』といわれた」など、想定される質問の答えを提示するサイトに利用者を導く。
「友達から相談を受けた時などにも開いてほしい」。周囲が性の知識の底上げを図れば、情報の探索や分析が難しい人も活用できる、と考えている。
アプリ利用者は着実に数を伸ばしている。ただ「中高生の感性はシビアで、使えないと分かれば即アンインストール」。助産師やDV相談を受ける団体などと連携し、コンテンツを充実させていきたい。
小児科医を目指していた高校生の夏、関西で2児置き去り死事件が起きた。「幼い子が自分にはどうしようもないことで未来を奪われる。あってはならない」。より早い段階で、子どもやこれから親となる人と関われる場に身を置きたいと考えるようになった。
パートナーと良好な関係が築けていない場合や、予期せぬ妊娠で親が経済的、精神的に余裕がないケースでは児童虐待のリスクが上がる。
日本で性教育は生殖、性交のイメージが強く、他の先進国に比べ遅れているのが現状だ。「自分や大切な人を守る知識を早いうちに得てもらい、虐待への連鎖を断ち切りたい」と訴える。
「社会を変えるのは甘くないが、性教育を見直す大人は増えている。今、スタートライン」