習志野文化ホール建て替えへ
宮本市長 方向性示す
民間事業者が検討しているJR津田沼駅南口の再開発に関連し、習志野市は習志野文化ホール(谷津1)を同駅前で再建設する方針を明らかにした。現状では「方向性」との表現にとどめ、状況によっては見直す可能性にも言及している。
画像=習志野文化ホールの外観
津田沼駅前再開発の一環
同ホールは1978年に竣工。大型商業施設と一体になった構造で、ホール部分は市が管理し、公益財団法人が指定管理者として運営している。客席数は1475席で、習志野で盛んな音楽の拠点として、市民に親しまれてきた。ドイツ製の本格的なパイプオルガンが設置されているのも特長だ。他方、近年は老朽化やバリアフリー上の課題も指摘されていた。
そこにJR津田沼駅南口の再開発案が重なった。市は2017年から同ホールを大規模改修する予定だったが、野村不動産が商業施設「モリシア津田沼」の建物と敷地の権利を取得する意向を示し再開発の検討を始めたことから、最小限の改修にとどめた経緯がある。
市総合政策課によると、隣接する津田沼公園は財務省が所有している。再開発について意向を確認したところ、同省は国有地を含めた事業化の検討は可能との見解を示したという。
再開発案は市有地の駅前ロータリーも含めた津田沼駅南口地区の約4㌶に及ぶ。市は18年から市民意識調査や演奏家など関係者へのヒアリング、近隣市の状況の調査を行い、19年には担当課の「都市再生課」を新設するなど、駅前の一体的な再開発を検討してきた。今後は、引き続き市民からの意見を聴取し、教育委員会や第三者会議に諮り、基本構想を策定する方針だ。
施設の統合を含む市の「公共施設再生計画」との整合性も考慮し、「将来世代に過度な負担を先送りしない」とし、官民連携での事業費圧縮に努めるとしている。
一方、新型コロナウイルスの影響で税収の落ち込みが確実視される中、市は経済情勢の変化や再開発事業の諸条件によっては「方向性を見直す」とも付け加えた。
先月30日に閉会した市議会定例会では、相原和幸議員、木村孝議員が同ホールについて一般質問した。宮本泰介市長は「音楽のまち習志野を象徴する施設としてJR津田沼駅南口に再建設する」などと答弁。音の響きを重視し、席数を維持する方向性を示した上で、「事業者との交渉段階にある。内容について、決定したものではない」と強調した。