西武跡地 ホール移設せず

18年2月に閉店した西武船橋店(本町1)の跡地活用について、船橋市は、開発を担当するセブン&アイ・クリエイトリンク(東京都)に対し、市のホールを「設置しない」と伝えたことが明らかになった。

同跡地はJR船橋駅前に位置し、同社が48階建てのタワーマンションを建設し、低層階にホールを設置して市にリースする案が検討されてきた。近隣にある船橋市民文化ホール・中央公民館(本町2)を移設し、現ホール・公民館の敷地を同社が買い取る「ワンパッケージ事業」として提案され、協議してきた経緯がある。市にとっても、老朽化が進む現ホールを休館せずに新施設に移行でき、売却費として50億円の財源ができるというメリットがあった。

船橋市、規模縮小に難色
しかし、現状の規模を維持できないことや、財政上の課題が浮上した。市政策企画課によると、19年11月の同社との協議で新ホールに1200席以上を設けるのは難しく、現有と同規模の千席になるほか、公民館の面積が現在の4分の3程度になることを確認。専用駐車場も10台という。市は「従来方式による建て替えと比較して優位性が認められない。提案によるリース料負担は市の財政状況から困難」とし、今年8月25日の政策会議で同跡地にホールを設置しないことを正式に決定した。

「今のままの方が規模感がある。移転するなら最低でも同じ規模のものが建たなければいけない。使い勝手が悪くなるのは明らか」と市担当者。同跡地は民間の所有だが特定街区に当たるため、市は今後も一定の公益性に配慮し、事業者の提案を待つ立場となる。一方の現ホール・公民館は、約8億円で改修する予定だ。