困りごと相談 地域の窓口に
放課後の子どもたちが食事をしながら親の帰りを待ったり、介護など、さまざまな困りごとの相談ができるカフェを芝山商店街内(=写真)に作ろうと、医療ソーシャルワーカーの田鎖暁子さん(47)が準備を進めている。空き店舗を改装し、来月31日のオープンを目指している。
「今、地域に必要なことを把握し、柔軟にサポートしたい」と田鎖さん。自宅で一人で食事をしている子どもや高齢者など、幅広い年代の人が時間を過ごす場にし、一人でいても「何となく寂しくないな」と感じられる空間にしたいという。
田鎖さんはこれまで、医療機関で働き、退院支援に携わってきた。「退院後のサポートは多様にあるが、利用条件や価格など、こぼれ落ちてしまう人がいる。それを知っていながら踏み込めず地域に送り出すことにモヤモヤしていた」。周囲の医療・介護関係者からも「この人が家に戻ったらどんな生活をするのか心配だが、力になれない」「制度内の手伝いしかできず歯がゆい思いだ」といった声があった。「時代ごとに変わるニーズに気づき、一緒に考えていける拠点を作りたい。合うサービスがないのなら、ここで作ることも考えたい」と起業を決意した。
店名は、植物のアヤメを意味する「あいりす」だ。「伝言」「希望」「信頼」などの花言葉と、構想する店のイメージを重ねた。
カフェ運営は初めてで、メニュー考案は栄養士と協力。日替わり定食は500円程度で、働く親や介護する家族とも情報共有し、アレルギーやとろみ食にも対応する。外出が難しい人に弁当や日用品を届ける構想もある。相談対応は知り合いの看護師、ケアマネジャーなどと知恵を出し合う。「私は近所の頼れる親戚のように、カフェは大家族が暮らすリビングのように。気軽に訪ねてほしい」と田鎖さんは話す。
営業時間は9時~20時。季節のイベントも企画する。
「芝山で成功事例を作り、ほかの地区にも広げたい」。現在、趣旨に賛同した人から資金を募っており、目標額は100万円。今月31日までインターネットサイト「クラウドファンディングREADYFOR」から応援できる。リターンは子どもたちへの食事券プレゼントなど。