高齢者施設 オンライン面会広がる
新型コロナウイルスの集団感染を防ぐため、厚生労働省はこのほど、高齢者施設でテレビ電話などによるオンライン面会を推奨する通知を各自治体に出した。本紙エリア内の複数の施設が導入しており、「利点か大きい」と話す担当者も多く、面会の一つの手段として拡大していきそうだ。
総合福祉施設「さわやか苑」(船橋市米ヶ崎町)では、面会制限が望ましいとする国の通知を受けた2月からタブレット端末などを活用したオンライン面会の試行を始め、3月から本格的に導入している。
画像=タブレット端末を使い会話する夫婦(同施設提供)
「毎日お父さんのことを思っています」「うれしいな、顔も見られるなんて」
「母さん、ごめんな。うつさないように面会を我慢していたんだ」「あんた待ってるのに来ないんだから。でも元気そうで良かったよ」
入居者の居室と、施設内の別室にタブレットを設置し、訪れた家族と入居者がモニター越しに5分ほど言葉を交わす。アプリ「LINE」のビデオ通話機能で、自宅と居室をつなぐことも可能という。
同施設職員の永野慎一さん(38)は「便利で手軽。オンライン面会の良さを知ってしまった。コロナが収束して通常の面会が再開しても、選択肢の一つになる」と話す。
導入に当たり、入居者らがモニターでの交流に違和感を持つのでは、という懸念や、端末を操作する介護スタッフの作業の増加など、不安もあった。だが、「入居者にとって面会が持つ力は大きい。ライフワークにしている家族もいる。相互の不安解消につなげたい」と導入に踏み切った。
コロナ収束後も「手段の一つに」
「オンライン面会なら仕事の合間に施設にいる親の顔を見る、といったことも可能になる」と永野さん。これまでは荷物を届けるのみで「時間がない」と面会せずに帰っていた家族にも「これなら」と好評で、結果的に入居者と顔を合わせる機会が増えた人もいる。入居者も「使ってみて良かった」と満足する人が多いという。将来的には、「自宅と施設で別々に暮らす家族がカメラを使い、一定時間つながる」といったことも考えられる。
広がりを見せるオンライン面会。現在、施設を越えた介護スタッフ間の情報交換も盛んという。