一斉休校 教育現場 大わらわ 卒業式は縮小 中止した学校も
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の一斉休校要請により、本紙エリア内の教育現場も対応に追われた。市立小中学校は2日からすべて臨時休校となり、3市で約7万人の児童生徒が「自宅待機」に。それに伴い、働く保護者の子どもを預かるため、学童保育は開所時間を早めて長期休みと同様の体制を整え、新規の受け付けも行った。私立学校や高校、特別支援学校もそれぞれの判断を迫られ、3日に予定されていた東邦高の卒業式は中止になった。
船橋市教委は小中81校、特別支援学校、市船橋高を25日まで臨時休業とした。外出を避け、家庭学習を行うことなどを各校に通知し、児童生徒への配慮を呼び掛けた。
卒業式は時間を短縮して実施する予定。卒業生と保護者1人のみの参加とし、校歌も歌わずにCDなどで対応する。教委担当者は「もともと短縮を検討していたが、テレビで休校のテロップが流れ、また一からやらざるを得なくなった。卒業生を思うと心苦しいが、感染拡大防止のためには…」とため息をつく。
市内中学校の校長は「せめて休校まで3日間の猶予が欲しかった。3月は生徒が1年間をたたえ合う時期。教育現場の声を聞いてもらえず、子どもがかわいそう」と憤る。突然の休校要請の後、自治体の判断に委ねると事実上の軌道修正が図られた点については「一斉なら一斉で通すべきで、柔軟にやれと言われても無責任だ」と話す。
習志野市教委は小中23校と市習志野高を休みにした。期限は設けていないが、状況に応じて対応する。
鎌ケ谷市教委は小中14校を春休みまで休校に。進路指導は必要に応じて行う。休校に伴う学童保育の新規申請は、日曜日だった1日、臨時に市役所の窓口で受け付けた。加えて、6日まで夜間も対応しようと、20時まで窓口を開ける体制を取った。
(写真=児童のいない小学校の教室で採点する教員。本紙エリア内では118校の市立小中学校が休校となった)
感染の不安 抱えつつ受け皿に
今回の一斉休校で、頭を悩ませたのが共働きやひとり親で子育てをする保護者と、その子どもの受け皿となる学童保育などの関係者らだ。
学校教育の管轄は文部科学省、学童保育は厚生労働省で、各市の担当部局も分かれている。担当者らは情報をすり合わせ、突貫作業で間に合わせたが、感染リスクを減らすために試行錯誤しながら子どもを預かっている状況だ。
習志野市は3日から校舎を一部開放し、子どもの受け入れを始めた。対象は、保護者のやむを得ない事情で自宅待機が難しい小学生全学年と中学特別支援学級の生徒で、学童保育の会員以外であることが条件だ。利用時間は8~15時。担当者は「一つに集めるのではなく、人数によって複数の教室を使いたい」と、リスクを少しでも減らす構えだ。
当事者の反応はさまざまだった。
船橋市内の学童保育に長女(2年)を迎えに来た40代女性会社員は、テレワークも検討したが、子どもを見ながらの作業は難しい。「学童の先生に感謝している。ここが閉鎖になったら福島の実家に預けるつもり」と話した。
共働きの50代男性団体職員は「休校は急過ぎるが、仕方ない。(新型肺炎の詳細が)わからない状況なので」と理解を示した。長女(2年)は「3月で引っ越すから、クラスのみんなに会えなくなっちゃうのは悲しい」とつぶやいた。
小学2年と幼稚園年長の姉妹を育てる20代パート女性は「コロナウイルスもだがインフルエンザも心配」と、学童保育の新規登録を見送り、仕事を休んで対応する。「小さい子どもたちを一日中、家に置いておくことはできないが、勤務先の人員不足などを考えると長くは休めない。夫は、平日休みが取れても月2日ほどが限度。モヤモヤしているが、様子を見て最善の答えをだす」
学校関連に限らず、スポーツや文化イベントは軒並み中止に。1日には船橋市で初めての感染が確認され、当局は対応に追われた。新型肺炎の騒動がいつ収束するのか、まだ見通せない。