農地を活用した防災訓練 住民間で知識共有 「安心感高める」

地震などの災害時に、農地を一時的な避難場所として活用することを想定した防災訓練が先月23日、船橋市内で行われた。同市の主催で、県内初の取り組みだ。
会場は三山5にある220坪の農業用ビニールハウス。近隣住民ら83人が集まった。当日は雨天だったがハウス内は暖かく快適。参加者は畑の野菜で豚汁を作ったり、段ボールで簡易トイレを制作したりした。
災害発生時に、近隣の避難場所まで移動できない人が一時的に身を寄せられる「防災協力農地」として市内34・1㌶の畑が登録されている。
畑は周囲に倒壊の危険のある建物はなく、火災による延焼の心配も少ないため、安全を確保しやすい。井戸水もあり、けが人の応急救護ができる環境を整えられる。復旧に向けた緊急資材置き場や仮設住宅建設場所としての活用も見込んでいる。農地を活用した防災の取り組みは全国的に広がっており、同市では阪神・淡路大震災を教訓として1997年度から登録を呼びかけている。
この日の炊き出しは、ポリ袋を使ってコメを炊くなどした。JAいちかわ船橋地区女性部の髙橋祥子さん(57)は「知識は雑誌などで得た。農家のお母ちゃんたちが中心に立って防災技術を伝えることで、安心感を高められる」と話す。
市農水産課は「訓練で農家との距離が縮まれば、いざというとき頼りやすい。場所を変えて訓練を続ける」という。