新・阿武松部屋スタート 親方「記憶に残る力士を育てたい」
大相撲阿武松部屋(習志野市鷺沼5)を継承した13代阿武松親方(37)=元幕内・大道、本名・中西健二=が、襲名後初となる本場所を迎える。あす10日に始まる九州場所を前に、まわしをつけて弟子に胸を貸す若き親方に話を聞いた。
「重たいよね。師匠とおかみさんが大きくした名前だから。でも部屋をやらせてもらえるなんて、こんなチャンスはない。精一杯やって師匠に報告したい」
先代は「白いウルフ」の異名を取った元関脇・益荒雄。日本相撲協会の審判部長を務めていたが、体調不良を理由に先場所をもって退職し、その後を継いだ。
「もっと押せ」「遅いぞ。はい、ラスト」。普段は温厚な性格だが、土俵に上がると現役時代と変わらない鋭い目つきで指導。力士らは汗と土にまみれていた。
稽古が厳しいことで知られる同部屋。「稽古を乗り越えれば強くなるが、モチベーションを保つ環境が必要」と弟子の姿勢に気を配る。「自分が地味な力士だったので、観客を沸かせ、記録より記憶に残る力士を育てたい。最終的には大関、横綱を育て、習志野で優勝パレードをしたい」
葛飾区出身で4歳から相撲を始めた。専修大を経て同部屋の門をたたき、05年に初土俵。最高位は前頭8枚目で、16年に引退した。
妻・知代さんと2歳の長男、0歳の長女とともに同部屋に転居。阿武咲ら力士15人、床山2人を抱える総責任者となった。先代からは、部屋付きの不知火親方(元小結・若荒雄)と「2人で頑張れ」との助言を受けたという。
「どんな子が化けるかわからない。経験がなくても軽い気持ちで見に来てもらえれば」と新弟子のスカウトにも力を入れていく。