魅力引き出す「展示の技」船橋市民ギャラリー 初心者向け講座 盛況

 船橋市民ギャラリーで16日に開かれた、作家自身が作品の展示空間を作りあげる実技講座がユニークだった。
照明の角度や並び順など、その作品の良さを引き出す展示方法を伝えることで、作り手たちに「ギャラリー展示」の奥深さを知ってもらうと、ギャラリーを運営する市文化・スポーツ公社が初めて開催した。
講座には市内などで活動する約20人のアマチュアが参加し、絵画や写真など、それぞれが持ち寄った作品についてプレゼンテーション。色のつながりやモチーフの関係性などを考慮しながら、70平方㍍の展示空間に、自分の作品の居場所を探した。17日~21日には「成果展覧会」として一般公開した。
講師を務めた船橋市教委文化課の山本雅美さんによると、美術館で働く学芸員たちは「テーマ、ターゲット、タイムリー」を軸に空間を構成するという。会場に搬入した順に並べているだけでは、作品の魅力を伝えきれない。同ギャラリーで作品を発表するアマチュアの中には「作品のテーマなどない、分からないという人もいるが、好きでやっているのだから必ずある。展示を考え抜くと、見る人への伝わり方が変わる」と話す。
受講者らは「企画の段階からしっかり検討する必要性を感じた」「隣に並ぶ作品によって作品の見え方が違う」などを感想を述べていた。
同ギャラリーは1993年に開設。近年は各サークル会員の高齢化が進んでおり、体力的な問題などから展示は小規模で会期が短い傾向にあるという。インターネットの活用など若い世代の作品発表の方法も多様化しており、ギャラリーに空き部屋が出ることもある。
そんな中で、今回の試みには市民ギャラリーの新たな役割を模索しよう、という狙いもあった。同じ趣味を持つ人同士の交流など「リアルなつながりを生みだすこと」もその一つだ。