不登校生徒が社会貢献活動 「感謝される体験」を自信に
鎌ケ谷市を拠点に不登校の中高生らを支援する「五育総合研究所」がこのほど、市中央公民館で特別講演会を開いた。不登校経験者やその家族が体験談を話す内容で市民ら16人が参加した。
講師として登壇した女子生徒は中学時代に「自己嫌悪」から不登校となった。自宅にこもりがちになり、パソコンで動画を見る日々が2年ほど続いた。複数のカウンセリングを受けるも長続きしなかったが、母親から同団体を紹介されたことが外に出る
きっかけになった、と話した。
「社会貢献部のボランティアが私を変えてくれた」。同団体が取り組んでいるのが、社会貢献活動を通した不登校生徒の自信回復プログラムだ。
女子生徒は団体スタッフとして鎌ケ谷市主催のイベントでスムージーを作ったり、スポーツ大会の計測補助などを任せられた。「休む暇もなくひっきりなし。体力もなくなっていたのに、こんなにハードなこともできるんだ」と自信につながった。現在は定時制高校に進学し、「皆勤」を続けている。
同団体は大人の引きこもり支援をメーンに01年に設立。手塚奈緒美代表が「引きこもりになる前に、より上流から解決を」と、対象を中高生らにも広げていった。
手塚さんは「ありがとう、と感謝される体験が大切。子どもたちがクリアできそうなハードルを設け、良いところを引き出す」ことが、屋外活動の狙いと話す。その他、市内大型商業施設で買い物客に各ボランティア団体への支援を呼び掛けたり、高齢者施設で活動したりしている。
文部科学省は16年に「不登校は問題行動ではない」との見解を示し、翌年には教育機会確保法が施行されたが、取り組みはまだ道半ばだ。
手塚代表は「学校に行かなくても地元で外に出る。そういう子どもたちを地域が見守ってくれるようになれば」と願っている。