ファミサポ利用件数1万超 10年で需要倍増 「協力会員」は不足
子育ての手伝いをしてほしい人と、手伝いたい人をつなぐ「ファミリー・サポート・センター」(ファミサポ)。船橋では「市福祉サービス公社」が00年から運営しており、昨年度、利用件数が1万件を超えた。
「家族や親戚同士のように、地域の人と助け合い子育てする」取り組みで、講習を受けた有償ボランティア(協力会員)が、自宅での預かり、幼保園や習い事先への送迎などを行う。利用料は1時間あたり700円(土日祝などは900円)で民間のベビーシッターなどと比べ安価。共働き世帯の増加などを背景に、支援を受けたい「利用会員」のニーズが増している。
4月末時点での利用会員2730人に対し、支援にあたる協力会員は約700人(利用を兼ねる両方会員を含む)。定年退職したシニア世代や会員の子など若い世代も新たに協力会員に登録するなど、増えてはいるが、需要に追いついていない。チラシを手配りするなど、事業の周知と合わせ支援側の会員を募集している。
子育てと同時に親の介護もする「ダブルケア」世帯や障がいを持つ子の親など利用者の状況はさまざまで、必要に応じてベテラン会員をマッチングするなど、工夫している。
協力会員は小児救命救急講習会などの受講が必須だが、保育士など専門資格は不要。補償保険に加入し、移動は徒歩や公共交通機関を利用する。
「孫のように」 送迎や自宅預り
船橋市在住の60代女性は、「子育て経験が少しくらい役に立つかもしれない」と10年前に協力会員に登録した。現在は近所に住む3歳の女の子を、自宅から数分のところにある幼稚園バスの停留所まで毎朝送り、週2回ほど、幼稚園に迎えに行って親が帰宅するまで女性の自宅で預かっている。
女の子は動物が好きで、散歩中の犬を見かけるたびに立ち止まる。「ゆっくり時間をかけて歩くんです。孫のようにかわいらしくて」と女の子の手をひいていた。
無料対話アプリ「LINE(ライン)」で女の子の写真を親と送りあうこともあるという。
3月には女性の三女(27)も「お母さんの手助けがしたい」と会員に登録した。家族ぐるみで女の子の成長を見守っている。女性は「親はいそがしいし、厳しくなりがち。ウチでは甘えさせてあげたい。自分が子育てしていた時にこのサービスを知っていたら、利用していたと思う」と話していた。