更生サポート 保護司に褒章 センター開設で連携強化も高齢化課題
先月発表された春の褒章。県内で藍綬褒章を受けた11人のうち、4人が犯罪や非行に走った人の更生やその家族を支える「保護司」だった。
咲が丘2の齋藤廣子さん(76)もその一人だ。54歳から活動を始め、これまでに約60人の立ち直りを見守った。「私がもらって良かったのかな」と齋藤さん。船橋地区更正保護サ
ポートセンター長の加藤幸子さん(74)によると「女性の保護司が褒章を受けるのは珍しい」という。
保護司は全国で約4万8千人。船橋市内では20代から70代の67人が活動している。保護司は法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員だが、報酬はなく、自営業者や主婦など実質は民間のボランティアだ。「家族や近所との関係はどうですか」「再犯したら私が泣くよ、この出会いを大切にしよう」と、対象の人を自宅に招いたり、訪問したりして言葉を交わし生活の様子を見守る。対象者が再び犯罪や非行に走らないよう昼夜を問わずサポートする重要な役割を担う。
齋藤さんは以前、家庭内暴力に悩む中学生を担当したことがあった。その子は進学した高校に1日しか行けなかったが、その後、齋藤さんのサポートを受けながら猛勉強。大学受験に合格し2人で抱き合い喜んだ。「そんな記憶こそ、最高の栄誉」なのだという。
対象者との関わり方やサポートの方法など保護司の裁量に委ねられる部分は大きく、保護司自身が悩んでしまうこともある。
国は保護司の負担を減らそうと、各地に「更正保護サポートセンター」の設置を進めている。船橋市には15年に開設されており、保護司同士の情報交換や保護観察官との連携、対象者との面談の場などとして利用され、近隣の保護司らは「活動しやすくなった」と話している。
一方で全国的に保護司の高齢化が進んでいる。保護司の任期は2年。初めての委嘱時には「66歳以下」、再任には「76歳未満」の年齢制限がある。地域社会の希薄化、定年の引き上げなど後継者探しが難しくなっているのが現状だ。
船橋市でも今後、ベテラン勢が立て続けに引退するため、「若手にノウハウを伝えたい」という。特に人員が足りないのは三山・田喜野井、習志野台、古和釜町・松が丘、西船地区。加藤さんは「負の連鎖を止めるのが保護司の仕事。興味がある人は連絡下さい」と話している。
℡(440)8450同センター