自殺対策計画 策定 各機関の連携を強化
船橋市はこのほど「自殺対策計画」を策定した。市内で毎年100人前後が自ら命を絶っている現状があり、計画として対策をまとめ各支援機関の連携を強化することで、人口10万人あたりの自殺者数を示す「自殺死亡率」を今後10年間で3割以上減らす目標だ。
計画は「地域におけるネットワークの強化」「自殺対策を支える人材の育成」など5本柱。各窓口で対応にあたった職員が「相談者の命に直結するかもしれないという意識を持つ」ため、市職員全員が2023年度までに自殺のサインに気づき適切に対応する「ゲートキーパー」の研修を受ける。
船橋市の自殺者数は12年から16年までの5年で533人。うち男性が350人と女性より多いが、性別、年齢、職の有無、同居・独居で区分した場合、「女性 60 歳以上無職同居」が多いのが特徴だ。背景にある主な自殺の危機経路は「身体疾患から病苦、うつ状態、自殺」と想定されている。
全国的に自殺者数は減少傾向にあるが、若い世代は横ばい。同市でも10歳代~30歳代の死因で最も多いのが自殺であることから、危機的状況のときは身近な人に助けを求める対処法を伝える。市健康政策課は「自殺は個人の問題ではなく、社会の問題で防ぐことができるという認識をさらに広げたい」と話す。
NPO法人の調査によると、自殺者の7割が生前、行政などの専門機関に相談に訪れていることが分かっている。だが自殺理由には複数の要因が含まれていることが多く、ひとつの相談窓口では対応が十分ではないこともある。
市でもすでに各機関や担当課窓口で対策を進めているが、「既存のものをどうつなげるかが課題」。また、自殺者の2割以上に未遂歴があることから、病院と連携し退院後も当事者を見守る体制を整える。