親の離婚 面会交流を支援 NPO法人「ウィーズ」
国内で親の離婚を経験する未成年は年間でおよそ22万人にのぼる。
両親の疲弊やあつれきにより離婚後の養育費や面会交流に関しての取り決めが十分になされず、子どものことが後回しになるケースは少なくない。
NPO法人「ウィーズ」(習志野台4)は16年に発足し、離れて暮らす親子の面会交流の仲介など、子どもの心情を最優先に考えた支援を行っている。光本歩理事長(30)は、「離婚や別居自体は悪いことではないが、その後の子どもの幸せな自立を追求する、大人の責任を果たさなければいけない」と話す。
子どもが「親に会いたい」と思っていても、両親間で連絡を取り、実際に顔を合わせる段階までいくのは簡単ではない。そこで同NPOが第三者として間に入り、日程や場所、子どもの思いに配慮して面会交流をサポートする。
「両親の主観を入れず、子ども自身が親との関係をどのように保っていくかを自分で決める。それが、子どもが離婚という事実を消化するための重要な要素になる」と光本さん。「親とのベストな関係性を判断できることは、子どもが自分の人生はこれでいいんだと思えることにつながり、自己肯定感にも直結する」とその重要性を強調する。親が争う姿を見て「自分が否定された」と感じている子、「離婚は自分のせい」ととらえている子は、「土台にひずみのあるまま成長することになる」と考えている。
今月から、これまで有料だった面会交流支援を条件付きで無料にした。「私たちは、子どもの気持ちを最優先したい。親に顧客という意識があると、それが難しくなることがあった」と理由を説明する。
光本さん自身、親の離婚を経験。話を聞いてくれる学校の先生に支えられた。父親の元での生活に不安はあったが、父親は「なぜ離婚したのか、なぜこの地に来たのかといった質問に答えてくれた」。17歳の時に一度だけ母親に会い、その後時間はかかったが気持ちを整理することができた。周囲からはしっかりしていると言われて育ったが、「本来、子どもはわがままなもの。私は決して強くない、運が良かっただけ。運の良し悪しや家庭環境で子どもの人生が左右されるのはおかしい。私と同じような思いをしてほしくない」。
「受験生です。家庭内が落ち着かず勉強に集中できません」「名字をそのままにしたいと親に伝えたい」―。活動を始めて3年。同NPOに寄せられた相談は1千件を超える。「子どもなんだから黙っていなさい」。消されてしまいそうな子どもたちの小さな声を拾い、学習支援やカウンセリングも行っている。
現在、面会交流の支援員を募集中だ。また、「ちばのWA地域づくり基金」で応援資金を募っている。