一人暮らし つながる場 船橋で初開催「シニア食堂」盛況

一人暮らしの高齢者らが一緒に料理し食事をする「シニア食堂」が船橋市内で初開催された。独居高齢者が増加するなか、流山市のNPO法人「東葛地区婚活支援ネットワーク」(岩波則康理事長)がシニアの生きがいやコミュニティー作りを目的に17年に始めた取り組みで、各地に広がっている。

前貝塚町の高齢者シェア住宅「オルシェ塚田」に14日、一人暮らしの地域住民ら15人が集まっていた。12畳ほどのリビングはすし詰め状態だったが、参加者たちは和気あいあい。「ビーンズのサラダ」「常備トマトソースでパスタ」など3品を40分ほどで仕上げ、「いただきます」と全員で食卓を囲んだ。
町内から参加した池山澄さん(70)は、「親切な人が多いね」と安心した様子。この数年で妻と長男を立て続けに亡くし、現在は「広すぎる」戸建てを出て集合住宅で暮らしている。食事は「一人だと手の込んだものを作る必要性を感じない」と宅配弁当が中心だ。「昼間は外に出るし人とのつながりがあるが夜になると不安でね。先のことを考えるとこういう場に足が向くんだよ」と話していた。
イベントを主催した不動産会社・京葉エステート(行田1)の高橋弘明代表(59)は夫と死別した自身の母親が「寂しい思いをしていた」ことから、若者が一つの住居を複数人で共有するシェアハウスのようなかたちで、高齢者が「新たな家族」と生活する環境を整えている。そんな時、同NPOの取り組みを新聞記事で目にし、同会の協力を得て船橋での開催にこぎつけた。
岩波理事長(67)はシニア食堂のモットーは「もたもたオッケー、うっかりオッケー。楽しくて食が進むのが一番ですから」と話す。「一人暮らしの高齢者の多くは、友達のように緩やかにつながる関係性を求めている。だが、ここまでの需要は予想していなかった」と広がりに驚く。今後も会場などを提供してくれる企業などと協力しながら、シニア食堂を発展させたい考えだ。
参加費は1回500円。次回は3月14日に開催する。食堂の定員は15人。オルシェ塚田の入居者募集は来月以降。問合せ℡(429)7272京葉エステート