「人」虐待してしまう親の回復プログラムを県内で初めて実施した 田岡由紀子さん

 昨年から16回にわたり、子どもへの虐待を繰り返してしまう親たちの「セルフケア」や「問題解決力」の回復プログラム「MY TREEペアレンツ・プログラム」の進行役を務めた。「自分も人も尊重する」「正直に語る」といった約束事のもと、「参加者たちは人の言葉によって気づきを得たり、支えあったり。1対1では達成し得ない、グループの力を感じた」。
船橋市の児童養護施設で家庭支援専門相談員として働き、子どもやその親の話に耳を傾ける。「子どもは親を求め、できることなら一緒に暮らしたいと思っている。そのために親の回復が必要。深刻な虐待にいたってしまう親は自分を変えたいと思っていることが多いが、やり方がわからない。親が自分の力に気づくことが、親子の幸せにつながるのではないか」
児童養護を志したきっかけは、大学時代に発展途上国でエイズ難病子ども支援に携わったこと。病気に関する情報が十分に伝わっていないことで親に抱かれず寂しい思いをしている子どもたちがいた。メディアを見聞きしても想像できなかった現実が「現地に行ったら見えてきた」。
長崎県出身。街には海外から来た人や文化があふれ、多様なものを受け入れる風土があった。「これまでのたくさんの出会いがあって今がある」
目標は「プログラムを続けること」。多くの人に仲間になってもらい、「千葉県内の複数カ所でやりたい。必要としている人に届けたい」。