「どんな最期を望むのか」元気なうちに「価値観」 明確に

ゲームで「もしもの時」想定

延命治療を望むのか、緩和ケアに関する考え、誰にそばにいてほしいか―。死期が迫るなど、家族らに自分の望みを伝えられない場合に備え、カードゲームであらかじめ意思を確認しておこう、という取り組みがある。「もしものための話し合い(もしバナ)」は元気なうちに「人生の最期に何を望むか」を表出し、家族や代理人と共有することを目的とするゲーム。米国で開発され、国内では15年に亀田総合病院(鴨川市)の医師らが一般社団法人「iACP」を設立し普及を図っている。3月に船橋市勤労市民センターで体験会が開かれる。
カードは全部で36枚。「機械につながれていない」「痛みがない」「家族と一緒に過ごす」などの文言が書かれている。この中から、プレイヤーが手札の交換などで取捨選択。最終的に、より自分が大切だと思う3枚のカードを手元に残す。そのカードを残した理由をプレイヤー同士で聞き合い、互いの考えに共感したり違いを発見したり、自身の「価値観」を明確にする狙いがある。
「『もしもの時』の話しは縁起でもない」と敬遠される傾向にあるが、「意思疎通ができなくなると、その人の望みは家族でさえわからない」と終活カウンセラーの宮岡みすみさん(50)は話す。「その人の意思を想像して治療方針などを選んだ家族などが、本人は苦しんでいないか、家族に申し訳ないと感じていないかなどと思いを巡らせ疲弊するケースを見てきた」とその必要性を強調する。
また「何をどう伝えたら良いか分からない人も各カードを比較して選べたり、別の人の考えを聞いて選択を変えたりできる」のもゲームの利点という。
体験会の対象は全世代。自らの死生観を言語化することは、どう生きるかを確認する作業でもある。ただ「最期を考えることに強い恐怖を感じたら、ゲームを中断してほしい」と配慮を呼びかける。
体験会は3月30日13時半から。