手工芸などの公募展で 榊原さんが協会展大賞
子どもの息づかい聞こえる創作人形
先月8日まで東京都美術館で開かれた手工芸やデザインなどの公募展「第34回ニュークリエイティブ展」(現代手工芸作家協会主催)で、西船在住の榊原理枝子さん(75)の創作人形が協会展大賞に輝いた。
「このゆびとまれ」と題し、7人の子どもたちが楽しそうに遊んでいる様子を表現した作品。空を指さしたり、今にも走り出しそうな子どもなど、自身の子や孫の仕草や表情を思い出しながら制作したという。人形の衣類は孫らが着ていたものを利用した。「人形たちを並べることで関係性が表現できたし、子どもの世界に迫力が出せた」と榊原さんは自身の作品を分析する。
東京の下町で育ったという榊原さん。道端で売られていたおひな様をねだったり、こよりで日本髪を結ったりしていたことが、人形作りの原点になっている。
「一番再現したいのは、楽しくてにぎやかな様子」。4人の子どもは独立し、自宅の壁には昔の写真が並んでいるが「もっと思い出を残したくて」人形作りに没頭している。
作業の合間に自宅前の公園で遊ぶ園児たちを眺めることも。「ご迷惑ですか、なんて保育士さんに言われると少し寂しくなっちゃう」。
「完成が近づくと人形に人格が出てきて、知らない子になる」ため、名前は付けない。作品を見た人たちに「あらかわいらしい」「いるいる、こういう子」と言われると、うれしくなる。