「福祉のかたち」広がる認知症カフェ
気軽に集まり ほっとひと息
認知症の人やその家族が情報を交換したり、悩みを相談したりする「認知症カフェ」が広がっている。船橋市はこのほど市内19施設の認知症カフェをまとめ、マップを作成した。開催は各施設により異なるが、月に1、2回ほど。ケアマネジャーや介護支援センターの職員らが相談を受けるほか、ミニコンサートなどの催しを企画しているカフェもある。
「親が認知症かもしれない」「認知症の家族を連れて外出することに不安がある」…。認知症カフェはそんな悩みを抱えた人が、気軽に足を運べる場所。同じ境遇の人や専門家と言葉を交わすことで、心の負担を軽減するとともに、地域住民との交流を通して、「認知症」への理解を促す狙いもある。
浜町商店街(浜町1)にある「喫茶五番街」は、毎月第4木曜に認知症カフェを開設している。先月22日、取材に訪れると、家族連れや会社員らで賑わい、一角では占いやマッサージのワークショップが開かれていた。
認知症の夫と同店を訪れていた70代の女性は「主人とここで毎週ランチをするのが楽しみ。一人の時もここにきて、顔見知りの人と話すと、気持ちがリフレッシュするの」と話す。女性を知る、湊町在宅介護支援センターの山﨑隆志さんは「以前は精神的に一杯いっぱいでよく涙を流していた。カフェに来るようになって、笑顔が戻った」という。
厚労省の推計では25年には認知症を患う人の数が全国で700万を超える。「介護は身近に起こっていること。まだまだ認知症を理解している人は少ないので、みんなが気持ちよくお店に来てくれたら」と店主の牛垣雅志さん(52)。「コーヒーを飲みたいから、少し落ち着きたいからと、日常の延長で来てほしい」と話す。