建築学ぶ学生対象 「デザインレビュー」 千葉工大の櫻井さん最優秀賞
「ターザンロープ」で移動するアイデア 「街の景観に責任、いつか人が驚く建物を」
全国の大学や専門学校などで建築を学ぶ学生らが制作した作品を審査する「デザインレビュー2018」が先月、福岡県で開かれ、千葉工大大学院1年の櫻井友美さん(=写真・22)の作品が最優秀賞に輝いた。
「防災地区ターザン計画~吉阪隆正にみる『スキ』のある建築の研究」と題し、街の防災をテーマにした模型作品。審査員たちの目を引いたのは街の中心に張られた「ターザンロープ」だ。10階建ての住居で、一時避難所でもある防災タワーと200㍍離れた防災センターをロープで往来しようという。
街のモデルは東京都台東区にある谷中地区。古い建物が多く残り、下町の風情が感じられる地区だが、防災のため道路の拡張や住居の建て替えが進められていると知り、「本当に必要なのかと疑問を持った」と櫻井さん。「自分なりに建物を含めて街の防災計画をデザインしてみよう」と制作に取り掛かった。
「森の中をワイヤーロープで移動するジップラインという遊びがあるが、街の中に置いたら普段は遊びで使えるし、災害時には避難や救助で使えるはず。空中を避難経路にすれば街の良さを壊さずに済む」
建築家になることが子どもの頃からの夢という櫻井さん。「建物は一度建ったら10年、20年は変わらないので、街の景観に責任がある。愛され続ける建物をデザインすることが建築家の役割だと思う。いつか人が見てパッと驚く建物を作りたい」と話している。
同大会は学生の作品をプロの建築家が講評し、参加者らで建築や都市デザインについて意見交換する場として、23回目。今年は全国から184作品が寄せられた。