特殊詐欺 市内でなお多発 県内ワースト2

電話de詐欺など特殊詐欺が県内で多発している。県警によると5月末時点での被害件数は629件で、過去最悪だった昨年より112件多い。船橋市内では1月~5月末までに84件の被害が発生しており、被害総額は1億9千万円。件数、被害額ともに県内ワースト2となっている。

県内の被害が総武線沿線や常磐線沿線の地域に集中していることから、船橋警察署生活安全課の小山毅課長(43)は「受け子が東京から電車で移動してきている可能性が高い」と話す。

被害者の多くは65歳以上の高齢女性で、1件あたりの被害額は100万円程度が多い。自宅などに現れた受け子に直接、現金を渡してしまうケースが大半という。

最近、市内で発生した事例では、娘を装った人物から「果物を多くもらったからお裾分けに行く」などとたわいない電話があり、翌日に「取引先に支払う現金が入ったカバンを紛失してしまった」という手口だった。1度目の電話で「お裾分け」という共通の話題が生まれたことで、2度目の電話への警戒心が解かれてしまったという。

家族になりすました犯人に続き、すぐに別の役割の仲間が電話することで、被害者に考える猶予を与えないのがやり口。小山課長は「最近は女性のかけ子も増えている印象がある」と話す。電話を受けても被害を免れたケースでは家族の制止が最も多く、コンビニや金融機関のスタッフの声かけで発覚することも少なくないという。

市内で被害が多いのは緑台地区や丸山地区など高齢化率が高い地域とリンクしている。駅からは距離があるため、受け子がタクシーを使っているケースが多いと見て、同署はタクシー協会などに協力を求めており、そのネットワークを強化していくことが今後の課題と話す。

捜査では防犯カメラの映像が鍵になるが、駅から離れるにつれ、犯人の足取りがつかめなくなってしまうため、「市が主導して防犯カメラの少ない場所への設置を進めてもらえたら」と話す。