成年後見制度「権利擁護サポートセンター」開設

認知症や知的障がいがある人の生活を支える成年後見制度。船橋市は制度の周知や相談対応にあたる「中核機関」を昨年、地域包括ケア推進課内に開設し、このほどその名称を「船橋市権利擁護サポートセンター」とした。

画像=窓口で相談にあたる職員ら

同制度は00年に始まった。精神疾患などで判断能力が十分でない人の意思決定を家庭裁判所が選任した後見人が支援する制度。不必要な高額商品の購入や詐欺被害などに遭わないよう、本人に代わって財産管理や契約手続きなどを行う。

高齢化を背景に需要は高まっていると考えられるが、利用は少ない。国は全国の自治体に対し、制度普及の主軸を担う「中核機関」の設置を求めるなど、改善を進めている。現在、船橋市内で同制度を利用している人は1000人ほどだが、市担当課は認知症など判断能力が十分でない人が2万6千ほどいると推計しており、今後も増加する見通しだ。

利用が進まない理由の一つに権利擁護の考え方や、制度が社会に浸透していないことが挙げられる。市が市内の高齢者を対象に行った調査でも、同制度の概要を知っていると答えた人は3割にとどまった。市は今後、講座を開くなど制度の周知を図り、正しい知識のもとで地域の見守りができる人材の育成を進めたいという。

後見人には弁護士や社会福祉士が選任されることが多いが、親族や一定の研修を受けた「市民後見人」もいる。法律など高度な知識を要する案件では後見人が悩むケースもある。「支援者一人で抱えてしまうと、利用者が思ってもいない方向に進むこともある。利用者の意思をくみ支援するためには専門家のサポート体制が必要」と同課の國島真一主任主事。同センターに二人の社会福祉士を配置し相談に乗るほか、弁護士や司法書士などでつくる「船橋市権利擁護支援等推進協議会」と相談者をつなげ適正な支援を目指したいという。

チームで支える仕組みを
「個々で終わるのではなくてチームとして困っている人たちを支えていくという形を広めたい。同センターを活用してほしい」と同課は話している。