触覚で新たな臨場感 千葉工大がイス形装置を開発

スクリーンに映し出される花火を「触覚」でも楽しめるイス型の装置「チェイニー」を千葉工大未来ロボット技術研究センター(fuRo)の大和秀彰副所長(48)らが開発した。

画像=イス型触覚提示装置「チェイニー」でデジタル花火を触覚で楽しむ様子

東大先端科学技術研究センターが開発した実験装置を展示用にしたもので、イスの座面と背もたれに埋め込んだ48個のモーターが打ち上がる花火の映像に連動して回転。視覚、聴覚に触覚が加わることで、新たな臨場感が味わえるという。

東大先端科学技術研究センターの堀江新特任助教(29)は、人は皮膚を引っ張ることで体全体が引っ張られるような感覚になることに着目。座面を部分的にスライドさせて臀部の皮膚を引っ張る装置「トーションクラウズ」を開発した。研究用の触覚提示装置のため、重量やコスト面で実用化には課題があったが、「もっと世の中に出して、一般の人に触れてもらたい」と大和副所長らが軽量化、簡素化に取り組んできた。人体に沿う設計でオフィスチェア形のデザインに仕上げた。

千葉工大スカイツリーキャンパス(墨田区押上)では、15㍍の巨大スクリーンを使って花火の打ち上げ、チェイニーの一般公開をしている。「接触デバイスの研究結果を体感してもらいたい。まずは試験的に、こういうものがあるということを知ってもらえれば」と大和副所長。VR(仮想現実)やインターネット上の仮想空間「メタバース」の注目が高まる中、今回の研究では未来のイスのあり方を提示した。知覚や身体障がいのある人への支援など可能性が広がるという。今後は「着座型に限らず、チャレンジしていきたい」と話している。

展示は12月18日までの土日祝。10時半から18時、入場無料。