パラ閉会式でドラム演奏 後藤さん市役所訪れ思い語る

東京パラリンピック閉会式でドラムを演奏した船橋市出身の後藤仁美さんが7日、市役所を訪れ、現場での体験や社会への思いを語った。

画像=船橋市役所で思いを語る後藤さん

後藤さんは先天性の難病「軟骨無形成症」があり、身長115㌢。パラ閉会式の制作陣からオファーを受け、障害のある4人の奏者の一人としてステージに立ち、スタンディングドラムを披露した。

「風が強く、少し怖かったが、4人が互いに尊重してプレーできた。温かい場だった」。障害のある人もない人もまざり合う現場を「それが本来の世界の姿ではないか」と感じたという。

行田西小4年の頃、行田公園でのマラソン大会で距離を短縮されそうになった。「自分はみんなと違うんだ」とショックを受けたが、教員と相談し、数分早く出発して同じ距離を走ったことが大事な経験として刻まれた。

母が音楽教室を営んでおり、10歳でドラムスティックを握った。行田中卒業後、東葉高在学時に誘われてロックバンドを始めた。子ども用のいすに座りつつ、大人用のドラムセットに埋もれながら演奏することで人を驚かせるのも得意だ。

「目立つのなら、かわいく、おしゃれに、もっと目立ってやろう」とファッションや美容を追求。現在はモデル、イラストレーター、俳優など多方面で活躍中で、舞台やテレビの出演も増えてきた。

「パラだけではなく、健常者と障害者が一緒になる場が増えてほしい。海外では小さい俳優も多い。普通という言葉は好きではないが、当たり前の存在になれば」。閉会式でのドラム演奏をきっかけに、音楽活動も充実させていくつもりだ。

訪問を受けた松戸徹市長は「閉会式は感動的で、パワフルだった。今後、船橋の音楽イベントに出演してほしい」と話した。