「子どもを育む街」ひとり親家庭をサポート

養育費確保と就業促進
離婚相手の養育費不払いや、新型コロナウイルスの影響により、ひとり親家庭の困窮が深刻化している。法務省の検討会議がまとめた資料によると、全国の母子世帯の76%が離婚した父親から養育費を受け取っていない現実がある。そこにコロナ禍が直撃し、支援が求められる中、政府は臨時特別給付金の支給を実施。同省は養育費の不払い解消に取り組んでおり、問題の根幹にある家族法制の見直しも検討している。

船橋市が18年に実施した調査では、市内に住むひとり親家庭のうち、65%が養育費を「現在受けていない」と答えている。市は20年3月に自立支援計画(第4次)を策定。養育費の取り決めから受け取りまで一連の流れをサポートする県内初の取り組みを開始し、経済的自立に向けた支援を進めている。

市は20年度の新規事業として、養育費セミナー、座談会などを実施した。児童家庭課によると、医療事務資格の講習会が好評だったという。そこで、新たに一般医薬品の登録販売者資格の講習会を始める方針を固め、21年度予算案に「就業促進」と「母子・父子自立支援員の専門性向上」について511万円を計上した。弁護士による養育費相談も年72回から96回に増やす予定で、それぞれの施策は開会中の市議会で審議されている。

他方、「同じ境遇の仲間とのつながりが欲しい」との声を受けて企画した親子交流キャンプは、コロナ禍の長期化で実施できていない。当事者同士の場の確保が課題となっている。

船橋市「一人で悩まないで」
ひとり親家庭は子育てと生計を一人で担う都合から、非正規雇用の人も多く、シフト削減や失職で一気に生活が厳しくなる構造がある。行政の支援自体を知らないケースや、役所への連絡に心理的なハードルを感じる人もいるとされ、「必要な人に届いていない」との指摘もある。市は対象の約3500世帯に資料を送付したほか、SNSを活用するなどして周知を図っている。担当者は「一人で悩まないで、気軽に相談してほしい」と呼び掛けている。℡(436)2320児童家庭課。