テントウムシに微生物乗せ 船橋出身の板橋さん 新技術に注目

 

テントウムシの羽を一時的に樹脂で固めた「飛ばないテントウムシ」に微生物を乗せ、農作物に付く害虫を駆除する新技術を船橋市出身の板橋聖大さん(20・県農業大学校)らが開発した。減農薬につながる環境に配慮した技術に注目が集まっている。
板橋さんは2月の全国農大プロジェクト発表会で農林水産大臣賞に輝き、先月開かれた日本応用動物昆虫学会の発表会では「ポスター賞」を受賞した。
「テントウムシは繁殖力が高く飼育も容易で、アブラムシをたくさん食べてくれる。農業分野から見て大きな魅力がある」

今月、東金市の同校研究科に再入学。病害虫専攻教室の清水敏夫准教授(46)の研究室で、同技術の商品化を進めている。
飛ばないテントウムシは清水准教授が成田西陵高在任中の13年に生徒らと開発。その技術を土台に、同大学校転任後に学生らと研究を重ねてきた。今回の技術は、粘着性のあるナガイモを上乗せし、糸状菌を培養することでコナジラミ類も死滅させるという板橋さんのアイデアが具現化したものだ。
板橋さんは御滝中出身。当時、家庭菜園を始めた母・周子さんに「害虫のことは任せると言われ、手伝ううちに楽しくなっていった」と振り返る。薬園台高園芸科でハウス野菜などを学び、「病害虫専攻という文字にひかれて」同校に進んだ。
テントウムシはすべて近隣の農地で捕獲したもの。「飛べないだけで繁殖もできる」と板橋さん。羽に付けた樹脂は2カ月ほどで外れるため、再び飛べるようになるという。「すべてが新しい技術なので失敗も多い。卒業までにわからないことを減らしていきたい」