金杉台中閉校式 最後の卒業生20人が巣立ち

船橋市立の中学校で10日、卒業式があった。市内全27校で5247人が門出を迎えた。学校統合により今年度で閉校となる金杉台中(今井弘校長)では卒業式に続き閉校式が開かれ、卒業生20人が思い出の詰まった学びやに別れを告げた。

画像=近隣の金杉台小の児童50人も駆けつけ卒業生を見送った

式で卒業生たちは「今日、ここでしっかりと金杉台中学校を心に刻み込んで、私たちは前に進みます」と決意を語った。その後、今井校長と生徒会長の鈴木茉帆さんが松本淳教育長へ校旗を返納した。式を終え、鈴木さんは「実感がなかったけれど、直前になって急にさみしい気持ちになった。後輩がいないため、部活や行事は3年生だけでの実施だったが、それもいい思い出」とほほ笑んだ。

同校は市内で13校目の中学校として1971年に開校。これまでに3832人の卒業生を送り出してきた。同地区の少子化による生徒減少を理由に20年3月に御滝中との統合が決定した。決定後の入学者はなく、今春の卒業生が最後の入学生でもあった。

最後のホームルームを終えた卒業生らは、金杉台小の児童や関係者らに見送られ学校を後にした。

感謝と思い出共有 OBらがメッセージ動画
閉校式では、同校のこれまでの歩みやOBらによるメッセージ動画などをまとめた17分の映像が上映された。卒業生への祝福と、52年にわたり子どもたちを見守ってきた学びやへの感謝の気持ちを共有したいという今井校長の呼び掛けで作られた。

画像=メッセージ動画を撮影する池田さん㊨とOBら

映像を制作したのは同校の卒業生で映像クリエーターの池田和広さん(29)。ドローンを使い校舎や校庭を空撮。1月29日には、OBや地域の住民らが学校を訪れ教室などで撮影を行った。ほかに修学旅行など学校行事の写真も挿入し、映像にまとめた。在学当時、生徒会長だったという池田さん。「心のふるさとである母校のためにできることがあればと引き受けた。何か形で残せればと。感謝とお別れの気持ちで作った」と話した。

撮影に参加した3期生の田村洋一さん(64)は「みんなバラバラになっていたけど、今回またみんなに会えた」と校舎を懐かしみ、思い出話に花を咲かせていた。卒業以来、数十年ぶりに母校を訪れた備前瞳さん(44)は「当時と変わらない制服を見て、懐かしさが込み上げてきた。たくさんの思い出がある。やっぱりなくなるのはさみしい」と話していた。

26日には学校の一般公開が予定されており、その際に映像も公開される。給食メニューの牛乳の販売のほか、地元のパン屋やコーヒー店なども出店する。

今井校長は「子どもたちの笑顔のために尽力いただいた地域の皆さんへの恩返しになれば」と来場を呼び掛ける。