再び坪井にホタルの光を コロナ禍で活動停滞も再始動

「ポツリポツリとした光。ゲンジボタルに比べると小さく、華やかさはあまりなくて地味だけどかわいらしい」―。そう話すのは坪井地区でへイケボタルの光を取り戻そうと活動する市民団体「坪井湿地を復活する会」の江口章代表(82)だ。会では坪井自治会館の一角で、ホタルの幼虫の人工飼育している。

画像=幼虫の成長を見守る江口さん㊧

坪井地域のヘイケボタルが絶滅の危機にあると知った江口さん。「かつてはヘイケボタルが数多く飛び交っていた。自分たちの暮らしを便利にするためにいなくなるなんて。自分たちの手で守らなければ」と10年に活動を始めた。わずかに生息していた成虫を採取。人工飼育計画をスタートさせた。

芝山高や東邦大などの学生の協力を得て卵の採取からふ化、育てた幼虫を坪井近隣公園へ放流する取り組みを続けてきた。18年からは地元住民らによるホタルサポーターの協力で飼育する幼虫も増え、活動は順調だった。

ところがコロナ禍。表立った活動ができず、協力してくれていた学生やボランティアたちも離れていった。放流する幼虫の数も減少傾向にあり、住民の交流会や毎年7月に実施してきたホタル観賞会も開催できていない。

江口さんは「SNSを使ってホタルの生態などを発信して、坪井産のホタルを途絶えないように、『きれいだね』で終わらないように」と活動を続ける。