ふすま下張りに地域の歴史 神山さんの講演 好評

鎌ケ谷市郷土資料館主催の歴史講演会が先月30日、鎌ケ谷市生涯学習推進センター(富岡2)で行われた。古いふすまや屏風をはがし、その下張りに使われた文書などから地域の歴史を研究している神山知徳さん(56)が、これまでに発見した史料や、自身の研究について紹介。その興味深い内容に、市民ら46人が熱心に耳を傾けた。

画像=下張り文書の調査手順も紹介した

ふすまや屏風の下地には、手紙の書き損じや行政書類などが使われていることもあり、当時を知る史料が眠っている可能性があるという。神山さんは、学生の時から古文書の解読に関わり、1994年に初めて下張りを剝がす調査に参加し「この紙はいったいどこから来たのか」と興味を持った。

神山さんは市川市内の高校で教べんを執る傍ら、郷土史研究を続けている。これまでに県内外で行った下張り調査で、役場の土地台帳や馬匹現在届、江戸幕府旗本が子孫に書き残した自伝や薬局史料(処方箋)などを発見した。下張り調査は手間がかかるため、研究者は多くないが、意外なものが出てくるところが魅力という。

鎌ケ谷市が17年に刊行した「鎌ケ谷市史下巻」の編さんにも尽力。講座では神山さんが同市と行った鎌ケ谷村の徳田家の調査についても紹介した。同家は百姓代・組頭や村長を歴任し、多角経営で栄えた家。ふすまの下張りからは商いや明治時代の集落運営に関する書類、宿場町として栄えたことがわかる史料が見つかった。「徳田家なしには明治時代の市史の大部分が書けなかったのでは」と神山さんは話す。

講演会に訪れた市内在住の50代女性は「ふすまの下からそんなことが分かるとは。鎌ケ谷に住んで長いが、知らないことが多かった。勉強になった」と話した。