かまたんデビュー10年 地道な努力で人気者に

鎌ケ谷市のマスコットキャラクター「かまたん」(=写真)が10日、登場から10年の節目を迎えた。

「梨と野菜の妖精」とされ、郷土愛を深め、鎌ケ谷の魅力の発信しようと活動してきたかまたん。近づくとハグをしてくれるのも特徴だ。市内事業者は条件を満たすと無料でデザインを利用できる制度があり、グッズや菓子類なども多く、その姿は至るところで見ることができる。

デビュー当時から人気者であったわけではない。PRを担当する市農業振興課は、さまざまな工夫を凝らして浸透を図ってきた。

かまたんは市制40周年を迎えた11年に農産物ブランドのキャラとして「誕生」し、初仕事は観光農園でのポスター撮影だった。一方で、当初の認知度は芳しくなく、「市役所内を歩き回ることから始めたらどうか」との声もあった。

そこで、市関連のイベントに限らず、幼稚園や保育園に売り込みに行き、運動会、誕生日会に出演。子どもたちに「鎌ケ谷の野菜や果物を食べてね」と地道にアピールした。

11年度の出動は約30回だったが、徐々に依頼が増加。13年度からは専任のアテンド担当として町田彩宝さん(36)が着任し、催しが多い土日に出動しやすい環境を整えると、1年間で170回ほどの出演依頼が舞い込むようになった。1日に3現場を回ったこともあるという。14年には市公式キャラに昇格。新たな市学校給食センターの稼働に合わせ、子どもが毎日見る食器にかまたんのイラストがプリントされた。

音楽に合わせてエアギターをするなど、パフォーマンスも成長。市民からは「動きがお茶目」「かわいらしい」といった声が多く聞かれるようになった。市外の活動も増え、遠方から訪れるファンや、他の自治体との交流も生まれた。

その上で、活動の基盤はあくまでも鎌ケ谷だ。町田さんは「市内と市外の活動のバランスが大事。支えてくれているのは市民の皆さん」と感謝を口にする。昨年からはコロナ禍で活動に制約が生じているが、今年8月には子育て支援イベント「ニコカマフェス」に出演。オンラインで市民との交流を図るなど、新たな試みも始めた。

かまたんは本紙の取材に「今は寂しいけど、この状況を乗り越えてまたみんなと、むぎゅーってハグしたいたん」とコメントしている。