葛飾中で水墨画授業 画家の荒井さん 母校で指導

現代アート作家が生徒に表現のこつを教える体験授業がこのほど葛飾中(大野等校長)で行われた。2年生を対象とした伝統文化を学ぶ授業の一環で、先月28日には同中出身の水墨画アーティスト、荒井恵子さん(57)が講師として訪れ、35人の「後輩」と共に制作に取り組んだ。

画像=生徒らが描いた水墨画を見せる荒井さん(右から2人目)

テーマは「喜怒哀楽」。荒井さんは、水と墨で和紙に絵を描き、思いをぶつけることで芸術になることを教えた。「心の中の姿、形は見えなくても感情がある。見えないものを描くのは難しいが、心から手、筆に伝わっていく」と話し、「哀」の表現では頼りなく細い線をそっと描き、「怒」では筆を勢いよく紙にたたきつけた。

生徒らは筆とはけを手に、部活動で勝った瞬間の喜び、大事に作り上げたプラモデルが壊れたときの悲しさなどを想像し、紙に心を刻み込んだ。ある男子生徒は、はけを回転させながら複雑な心模様を表現。2枚の紙を合わせた水墨画を描く生徒もおり、それぞれの思いを表した。

「自分と向き合って表現し、作品にすることを経験してほしい。人の心をイメージして読み解いていくのは大事。美術を通して伝えられれば」と荒井さん。

同授業は市教委の学芸員が進めてきた「対話型鑑賞」の一環。生徒同士で作品の意味を考える取り組みで、船橋ゆかりの芸術家を学校に派遣し実践する授業は今回が初という。