アサリ漁場再生へ 東京湾初、砕石投入で造成

漁場の海底に砂利を敷き詰める「砕石覆砂」という手法で、アサリの漁獲量を回復させる東京湾初の取り組みを船橋市漁業協同組合などが行っている。22日、船橋沖の試験操業が報道陣に公開された。

画像=船橋沖の試験区で「砕石アサリ」を水揚げする小野尾さん

漁場は船橋漁港から船で20分ほどの三番瀬。深さ約2㍍の浅瀬で、約7400平方㍍が試験区として造成されている。波浪に耐える2・5~5㍉ほどの砂利で海底を覆い、貝の「住み家」として整えたものだ。事業化から5年。ようやく3~4㌢サイズにアサリが育ち、今年から水揚げできるようになった。

この日は船橋の漁師、小野尾祐司さん(37)が取材に応じ、「砂利の効果を感じる。できればもっと広範囲にまいてほしい」と話した。

三番瀬は江戸時代からアサリ漁が盛んで、20世紀後半には生産量が2万トンを超える年もあったが、次第に減少。近年は青潮の影響や、南風による波浪に弱い性質などにより資源が激減し、18年以降はほぼゼロになった。現在、船橋のアサリ漁師の多くは北米原産のホンビノス貝漁を主力に切り替えている。

漁協は江戸前のアサリを復活させようと、船橋市、県、国と協力。市農水産課によると、17年以降、年間約1千万円ほどの補助金を活用して環境の改善を進めてきた。

19年の台風15号に伴う出水で漁場のほぼ全域が泥で埋没する誤算もあったが、翌年には解消。この1年で成貝が順調に成長し、砕石覆砂の有効性が確認された。アサリの専門家で、同事業の検討会で委員長を務める柿野純さん(74)は「東京湾では初めて砕石でアサリが採れた事業。規模拡大を検討している」と説明した。

船橋漁港内の直売所「三番瀬みなとや」では、砕石アサリを土日限定で販売している。10~15時、1㌘1円。状況により販売のない日もある。