妻が遺したメモを絵本に 田喜野井在住の会社員・田澤さん

田喜野井在住の会社員、田澤浩一さん(50)は3年前に他界した妻・妙子さん(享年47)の遺したメモを基にした絵本の出版を目指している。2千部を作り、児童養護施設に寄贈したいと、インターネット上のクラウドファンディングで資金を募っている。9日まで。

画像=絵本の出版にむけ思いを語る田澤さん

妙子さんは生前、趣味で文芸作品やイラストを書いていた。遺品の中から、絵本の下書きと思われる十数㌻分のノートが見つかった。

「傷ついた子どもたちに」 物語届けたい
アルコール依存症を患っていた妙子さんの晩年は恵まれていたとは言い難かった。当時高校生と中学生だった2人の息子にも「つらい経験をさせてしまった」と田澤さん。下書きがいつ書かれたものか定かではないが、母としての二人への愛情が感じられる内容だった。

亡くなった翌年、田澤さんは登録していた骨髄バンクから連絡を受けドナーになった。その入院のためにできた時間で、妙子さんの物語をまとめた。「採取日が妻の命日とほぼ重なった。これは何かのメッセージかもしれない」と感じたという。

絵本は「マートくんのレストラン」と題した作品。パンの香りに釣られて悪い魔女に捕まった主人公の男の子が、不思議な出来事をきっかけにコックになった物語だ。

「私たちの家庭の罪滅ぼしではないが、親子関係で傷ついた子どもたちに心の癒やしを届けたい」と田澤さん。「つらい経験もプラスにできるというメッセージもある」

現在、寄贈先となる施設も募集中。問合せはメールアドレスmm_ohen@yahoo.co.jp田澤さんまで。