新年度当初予算案 市税収入4.2%減

船橋市はこのほど、21年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比0・2%増の2121億7千万円で、過去2番目の規模。新型コロナウイルスの各種対策に約92億円を計上し、予算規模を押し上げた。財政課によると、コロナの影響がない場合は実質4・1%減の約2029億円。

歳入は、コロナ禍による所得の落ち込みなどにより、市税は42億8100万円減、率で4・2%減の979億990万円と大幅減で計上した。国の交付金、県支出金、市債の「臨時財政対策債」、財政調整基金からの繰入金などを減収分に充て、予算を確保した。

歳出は、福祉の費用となる民生費が970億870万円と全体の45・7%を占める。続いて、感染症の影響により、衛生費が52・1%増の268億8820万円と大幅増で計上しているのが今回の特徴だ。一方、学校の大規模改修や塚田南小新設などの大型事業が一段落した教育費は、2割以上の減少となる234億9840万円となった。

特別・企業会計を含めた総額は1・6%減の3739億2622万円。予算案は15日に始まった市議会定例会で審議されている。

コロナ対策以外の主な事業では、「交通ビッグデータを活用した分析・検討」に447万円を計上し、渋滞解消への対策を進める。ほか、新規事業として、救急隊の増隊(4121万円)、外国人介護人材の受け入れ支援(500万円)、学校におけるいじめ防止(372万円)などを行う。

市は将来の財政難を回避するための取り組みを進めているが、「コロナに重点を置かざるを得ない」と財政課。「先が見えないが、このままでは厳しいので行財政改革も並行して進めていかなければならない」と苦しい台所事情を明かす。

市の貯金にあたる財政調整基金の残高は、21年度末に36億円を見込む。予算上では2年間で約7割の減少となる。例年は決算時に使わなかった分が補充されるが、感染症対策で補正予算が度重なり、膨張した20年度一般会計の決算は未知数だ。

担当者は「慎重に財政運営をしていきたい」と話す。